"その日"を超えて、私は強くなる。
アスリート50人×生理
#1
柔道
角田夏実
Natsumi Tsunoda

中学時代は動けないほどの生理痛も。
勇気を出して選んだ「ピル」「卵子凍結」
「なんで生理はあるんだろう」
「生理に対してどう思っていましたか」という漠然とした質問に対しても角田は淀みなく答えた。
「1か月に1回、憂鬱な時期が来る。なんであるんだろうって思ったこともあります。大学生になると生理用品も自分で買わないといけないし、お金もかかる。絶対付きまとうものなのに、なんであるんだろうって悩むぐらい面倒くさいものだと思ってました」
それくらい角田の生理は大変だった。
話を聞かせていただいた。


インタビュー(YouTube)
全編はYouTubeにて
以下、インタビュー抜粋
中学生のころは痛くて、
1日中保健室で寝ていた
初潮は小学校6年生。本格的に始まったのは中学2年生。そのころ、競技生活と身体の変化が強くぶつかり始めたという。
「減量が突然落ちなくなったんです。44キロ級で出ていたんですけど、生理前までは落ちていた体重が、生理が始まると食べてもないのに増えていく。最後の試合は本当にきつくて、身体が変わってしまったなと思いました」

中学時代に一度、立ち上がることすらできないほどの激痛に襲われたことがある。
「起き上がれなくて、学校へ行ってもずっと保健室で寝ていたぐらい。うずくまってないとダメで。病気なんじゃないかって思ったけど、熱があるわけでもない。でも『生理痛だから大丈夫でしょ』って言われてしまう。それがきつかったですね。『本当に痛いのに』って思っていました」
「ズル休みと思われる」不安
そのことは友達には伝えていた?
「痛くない子もいるから、生理痛で休むって『ただラクしたいだけ』って思われることもある。分かってくれる人は分かってくれるけど、話せない人もいました」
「逆に男性指導者の方がその辺は優しいというか、あんまりきつく言えないところがあるので、『生理痛で練習が…』って言えば認めてくれていたので、ちょっと助かってました」
女性指導者は自身の経験も踏まえた上での言葉になることも多いという。
「生理はみんな同じではないんですけど、同じものとして扱わないといけないというのもあったと思います」

ナプキンを何枚も重ねていた
「柔道とナプキンの相性は良くないときは良くないですね。本当に2枚、3枚重ねたりとか、ずらして付けたりとかしないと漏れちゃう。寝技で後転するようなことも多いんで、後ろの方までカバーしたりとか、横をちょっと隙間ができるので、その辺もカバーしたりとか。汗とまじって漏れることもあって」
「今は柔道着は青もありますけど、白い道着しかないときは漏れたら目立つ。試合に集中したいのに『漏れてないか』っていう不安のほうが大きくなることがあります」
「何かを変えなきゃ」で
ピルと出会う

大学まで生理痛は続いた。
「姉も生理痛がひどくて、病院行ってみたら?ってすすめられて。検査したら『このままだと子宮内膜症みたいになる可能性がある』って言われて。痛みを抑えるためと、競技に合わせてコントロールできるメリットもあって、始めました」
だが最初からうまくはいかなかった。
「薬によって合う合わないがあって、3つ目でぴったり合った。副作用でむくんだりしたときもあったけど、変えたらすごく楽になった」
角田がそこまでしたのには訳があった。
「世界を目指していこうと決めて。そのためには何かを変えなきゃって。生理と大きな試合が重なったこともありました」
中学生のつらかった時期に、ピルを飲んでいたらよかった?
「いや、ピルはちゃんと毎日飲まないといけないし、それを中学生のときの私ができたかというと…。大学生になって世界を目指すとなって使おうと決めました」

卵子凍結という選択
大きな大会を終え、次に向き合ったのは競技者としての人生と、ひとりの女性としての人生だった。
「やっぱりずっと子どもが欲しい、結婚して子どもが欲しいってことも考えてたので、競技をいつまで続けるかって考えたときに、不安があると楽しめないというか。だったらその不安と一回しっかり向き合ってみて、どうやってその不安を取り除けるかなっていうのを考えたときに、卵子凍結の話をしっかり聞くことが大事かなと思って、自分の体と向き合ったときに必要だなと思ってやりました」
決断するまでに時間と勇気が必要だったが、角田は情報をしっかり集めることと、勇気を持って踏み出す必要性を感じたという。
「今はネットで調べれば調べるほど、本当じゃない、嘘かも分からない情報もあるので、それで逆に怖くなっちゃったりもしたりもします。だから情報源を大切にした方がいいなっていうのは最近感じていて私ができることっていうのは、やっぱり実体験をこうやって話して伝えていくっていうのが一番信じてもらえるかなと思っています」

部活生に伝えたいこと
「全力で練習して、全力で遊んで、全力で休む。どっちも100%でやり切ると、次が楽しみになる。オンもオフも思い切りやってほしい」
「生理に関しては言いづらいこともあるし、私も恥ずかしかった。でもSOSを出すということはとても大切だと思います」
インタビュー(YouTube)
全編はYouTubeにて


