"その日"を超えて、私は強くなる。
アスリート50人×生理

#5

陸上 100m
三浦愛華

Manaka Miura

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海外で自己ベストを重ねた今シーズン
「0.01秒の世界」だから、生理を考えた

自分の体と向き合った社会人2年目

2025年は海外遠征で収穫を得て、日本選手権では悔しさも味わった。そして「試合と生理が重なる不安」を、初めてピルで手当てした。短距離スプリンター・三浦愛華が語る、“競技と生理”のリアル

陸上 三浦愛華

今シーズン、三浦は初めて本格的に海外遠征を経験した。
世界への挑戦を見据えた遠征であり、海外選手と同じ舞台で走ることで「吸収するものが多かった」という。結果として3度自己ベストを更新。「そこは良かった」と手応えを口にした。

一方で、日本選手権は悔しさが残った。調子自体はよく、準決勝でトップのタイムを出して決勝へ。優勝を狙っていた。しかし「絶対勝ちたい」という気持ちが強くなりすぎ、結果は4位。

「決勝だけ自分の思うようなレースができなかった」

そう振り返りながらも、その経験は“ロスを目指していく時に”必ず生きると捉えている。

「その中でも勝ち切れる選手にならないとダメだなと思っています」

陸上 三浦愛華

生理が重いタイプではない。それでも「初めてピルを飲んだ」理由

生理との付き合いについて、三浦は「重いタイプではない」と前置きしたうえで、今年、日本選手権に向けて初めてピルを使用したことを明かす。

「今まで試合の時も被ったら被ったり出てたんですけど、今回、日本選手権で頑張りたいっていう思いがあって。たまたま本当に日程が被ってたんで、初めてピルを飲みました」

心配していた副作用は大きく出ず、周期もコントロールできた。「4,000円で日本選手権の不安が消えるんだったら、使いますよね(笑)」

“勝負の不安”を減らすための選択肢として、今後も「被る機会があれば使ってみてもいい」と語る。

短距離は、0.01秒を争う世界だ。三浦は、今後さらに“その0.01の中でも並ぶ”ような決勝の場面を想定したとき、「生理の影響で変わってくるのも嫌」と率直に言う。
だからこそ、必要な時にコントロールするという考えに至った。

インタビュー(YouTube)

全編はYouTubeにて

どの産婦人科へ行くか。
「スポーツ外来」がひとつの目安に

三浦が選んだのは、スポーツドクターがいる産婦人科だった。

「私が調べて、スポーツドクターの先生がおられる産婦人科に行きました」

“スポーツ外来”という言葉が、ひとつ分かりやすい目印になるとも語る。貧血なども含めて相談できる点に安心感があったという。

「いつぐらい前から使い始めると間に合う?」という問いに対しては、前回の生理が終わってから飲み始め、10日ほど続けることで「次の生理をコントロールできた」経験を共有した。

陸上 三浦愛華

生理が競技にもたらす影響。
100mは「スタート」に出る

生理の影響は、痛みだけではない。日によって体の感覚が変わる。

三浦は体の“重さ”や“感覚のズレ”も含めて、少なからずパフォーマンスに影響すると語る。100m競技で考えるなら、影響が出やすいのはスタートだ。

「スタートが一番、体重をしっかりかけてやっていくところなので、反応速度とかも影響するのかなと思います」

“たった一歩”に出る違いが、そのまま結果に繋がる。だからこそ、体調の揺らぎに対して「自分の選択肢を持っておく」ことが、競技の現実として重要になる。

陸上 三浦愛華

ナプキン、タンポン。学生時代の「情報交換」

学生時代、三浦はナプキン選びで意識していたポイントを「ずれないように。羽つき」と話す。

蒸れや動きやすさの面では、薄めのタイプを好んで使っていた。また、仲間内ではタンポンの話題も出た。最初は怖くて使えないという選手もいる。そうした友人に、使いやすさや快適さを伝えたり、試合でナプキンをつけて走るのが嫌だという声には、動きづらさが少ない点を説明したりした。

「比較的そういったことが話せる友達と空気感だった」と三浦は振り返る。
大学が女子大だったことも、話しやすさに繋がっていた。

一方で、高校時代は環境の難しさもあった。練習後にトイレが遠く、替えに行く時間が取れず「今替えに行きたいです」と言えなかったこともあったという。

陸上 三浦愛華

「分からないからって、気軽に言わない」気づきは“人の声”から始まった

三浦自身は生理が重いタイプではなかった。中学時代、「体育ができない」ほどつらい人がいることを、正直ピンと来ていなかったという。

「私は軽かったんで、そんなに?って思ってたんですけど、今になっていろんな人の声を聞いたりして、本当に辛いんだと思う」

そして続けてこう言う。「自分が分からないからって気軽に言ったりとか、ちょっと控えた方がいいのかなと思いました」

自分が困っていなくても、困っている人はいる。高校、大学と進む中で「重すぎて薬が効かない」「量が多くて今日は無理かも」といった声を聞き、現実を知っていった。

陸上 三浦愛華

PlaySを使い始めた理由
今では毎日使う、選択肢

PlaySについて三浦は、「前から知っていた。気になっていた」と話す。

周期のズレで下着が汚れてしまうことがある。その不安が、選ぶ理由になった。

「生理が始まる前に使ってるんですけど、もうすぐ来ても、もう履いてるから大丈夫なので。そこがすごいいいなって思って使ってます」

おりものシートは、ずれたり不安があったという。小さくて位置が気になり、複数枚を重ねたときのずれがストレスになって使わなくなった。

その点、吸水ショーツは“普通の下着の感覚”に近づくのが早い、と実感を語る。

「私、実はほぼ毎日使っています」

陸上 三浦愛華

部活生へ。選択肢が増えるだけで、救われる人がいる

最後に三浦は、「自分の発信」で部活生たちの助けになりたいと語った。
理由はシンプルだ。選択肢が増えるから。

「私が発信することによって、知ってもらえるだけでも、その子達にとってプラスになると思うので、やっていきたいなと思います」

“重い/軽い”の差があるからこそ、誰かの当たり前が、誰かには当たり前じゃない。競技の世界で0.01秒を削る選手が、同じ熱量で“生理の選択肢”も語る。

その言葉は、いま部活を続けている誰かの背中を、確かに押すはずだ。

インタビュー(YouTube)

全編はYouTubeにて